笛木ｖｓ瀬藤ｖｓ下田・リングの裏側

「瀬藤とやるか？」

「はい、お願いします」

協栄ジム大竹マネジャーから、笛木　亮　（ジャパンＳ）選手に日本Ｓバンタム級１位瀬藤幹人（協栄）選手との対戦話が舞い込んだ。前戦で杉浦充訓（協栄）選手に勝ち連敗脱出した笛木選手とは、「次はＳバンタムがいいと思うよ」と話しをしていた。瀬藤選手との対戦は５６キロ契約。

この話し。迷うようなら断ろうと思っていた。迷っているようじゃ、最初から勝負にならない。しかし、何のためらいもなく「やります！」の返事が返ってきた。

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新人王戦は東決勝で加治木了太（協栄→大鵬）選手に敗れるも、Ｂ級トーナメントで現フェザー級１位天笠　尚　（山上）選手に勝ち優勝。運よくフェザー級でランク入りするも、苦労人涼野康太（五代）選手の左フックの前に連勝をストップされる。続く比国人ＯＰＢＦランカーとの対戦も、中途半端なボクシングで期待を大きく裏切った。

「どうやったら、あんなに悪くなっちゃうの。いい選手だったのに」

「あれ直すの大変だよ」

マッチメイカーの山崎さんに、試合直後ズバリといわれた。

協栄ジム２階道場へ練習しに来ていた時期もあったが、「半端な気持ちで来られたら迷惑」ということで、つき返していた。

「もう一度お願いします」

そう頭を下げてきたのは２連敗の後。「しっかりやれるのか！」。大竹マネジャーに取次、その願いは許されることになる。

「今度は、半端できないぞ。ここは言い訳、通用しないからな」

「月謝だけちゃんと払えよ」(~~)

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０４年１１月。笛木選手がデビューした日のメインエベントに瀬藤選手が出場している。

「ずっと憧れの先輩でした」

しかし、勝負は別である。瀬藤選手とは、練習時間、練習フロアが違う。私と瀬藤選手とは２度目の対戦となる。０３年９月、攻勢一転名護明彦（全日本Ｐ）選手の強打にキャンバスに吹き飛ばされた瀬藤選手。「大事な選手を一人壊されました」。金平会長からは、そんなふうにいわれたが、これも勝負。瀬藤選手はこの敗戦から立ち直り、快進撃を続けることになるのだが。

「絶対に声かかるから、そのつもりでやっとけよ瀬藤」

瀬藤選手に来た対戦オファーは下田昭文（帝拳）選手から。デビュー以来１２連勝の快進撃を続ける俊才は、対戦相手を見つけるのが難しいに違いない。大竹マネジャーの読みが当たった。「チャンスあるよ！」。そして、瀬藤選手はベストパフォーマンスを見せ、期待のホープに初黒星を味あわせることに成功する。

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笛木選手にも、名護ｖｓ瀬藤戦のビデオを渡した。少なからず感じるものはあったようである。「あそこが痛い、今日は用事がなんて言うなよ」。練習は順調に消化。スパーでは、小野木協栄選手のアゴを打ち砕いた。痛いアクシデントだが、正直、選手には自信になる。

減量も全く問題なし。ちょっとした工夫でウェイトを落とさせているのだが、力が落ちることなく、相当元気な状態で仕上げられる。

「向うの方がやりにくいんだから」

「後は迷うな。思い切り行けよ！」

試合は、瀬藤選手が貫禄を見せ７回負傷判定勝ち。結果的にポイント差はつきましたが、それほど大差の印象はない試合。笛木選手も、これまで崩れていた場面でよく踏ん張り、試合を面白くしてくれました。もうちょっとやりたかったことはあるけれど、十分に自信を取り戻せた試合になりました。今後は、やはりＳバンタム級ですね。

笛木亮blog イツナロウBAR

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